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19. 作業の状況

このセクションは,作業している状況を表示または変更するコマンドを記述し ます.現在のディレクトリ,端末設定,その他です.次のセクションのユーザ 関連のコマンドも参照してください.

19.1 pwd: 作業中のディレクトリを表示  Print working directory.
19.2 stty: 端末の特徴を表示または変更  Print or change terminal characteristics.
19.3 printenv: すべてまたはいくつかの環境変数を出力  Print environment variables.
19.4 tty: 標準入力につながっている端末のファイル名を出力  Print file name of terminal on standard input.


19.1 pwd: 作業中のディレクトリを表示

pwdは,現在のディレクトリの完全に解決された名前を出力します. すなわち,出力される名前のすべての要素は,実際のディレクトリ名です -- シンボリックリンクではありません.

ほとんどのシェルには同じ名前の組み込みコマンドがあるので,装飾なしのス クリプト内や対話的なコマンド名を用いると,ここで記述しているものとは異 なる機能になる可能性があります.

オプションは単独の`--help'と`--version'だけです. See section 2. 共通のオプション.


19.2 stty: 端末の特徴を表示または変更

sttyは,ボーレートのような,端末の特徴を表示または変更します. 構文は以下のとおりです.

 
stty [option] [setting]...
stty [option]

設定行がない場合,sttyは,ボーレート,(システムがサポートす る)回線制御数,そして`stty sane'で設定された値から変更された回線 設定を表示します.デフォルトで,モードの読み込みと設定は標準入力に接続 されているtty回線で実行されますが,これは`--file'オプションで修 正することが可能です.

sttyは,端末回線処理の状況を変更する,以下で記述するようなオ プションではない多くの引数を受け入れます.

プログラムは以下のオプションを受け入れます.2. 共通のオプションも参照 してください.

`-a'
`--all'
すべての現在の設定を人間が読める形式で出力します.このオプションは,あ らゆる回線設定と組み合わせて使用することはできません.

`-F device'
`--file=device'
標準入力に接続しているtty回線の代わりに,deviceで指定されている ファイル名で開かれた回線を設定します.このオプションは,clocal が設定されていない場合,キャリア検出回線が高速ではないので, POSIX ttyのブロッキングを避けるために,O_NONDELAYフラ グの使用を要求するPOSIX ttyを開くために必要です.そのため, 従来の方法でシェルがデバイスを開くことが,常に可能なわけではありません.

`-g'
`--save'
他のsttyコマンドが現在の設定を復元するための引数として使用可 能な形式で,すべての現在の設定を表示します.このオプションは,あらゆる 回線設定と組み合わせて使用することはできません.

多くの設定は,前置される`-'で停止することが可能です.そのような引 数は,それら記述で"取り消し可能"として以下では印がついています.記述 自身は,肯定の場合を述べていて,すなわち,(もちろん,明言されていなけ れば)取り消しではありません

設定には,拡張を使用しているため,すべてのPOSIXシステムで利 用可能ではないものもあります.そのような引数はその記述で"非 POSIX"という印がついています.非POSIXシステムでは, これらやその他の設定も利用可能ではありませんが,すべてのバリエーション を説明するのは実行不可能です.まずは,試してみてください.

19.2.1 制御設定  Control settings
19.2.2 入力設定  Input settings
19.2.3 出力設定  Output settings
19.2.4 ローカル設定  Local settings
19.2.5 組み合わせ設定  Combination settings
19.2.6 特殊文字  Special characters
19.2.7 特殊設定  Special settings


19.2.1 制御設定

制御設定です.

`parenb'
出力の一般的なパリティビットと,入力の期待するパリティビットです.取り 消し可能です.

`parodd'
(取り消す場合も)偶パリティです.取り消し可能です.

`cs5'
`cs6'
`cs7'
`cs8'
文字サイズを5,6,7,または8ビットに設定します.

`hup'
`hupcl'
最後の処理がttyを閉じるとき,ハングアップシグナルを送ります.取り消し 可能です.

`cstopb'
二つのストップビット(取消しの場合は一つ)を使用します.取り消し可能です.

`cread'
入力の受信を許可します.取り消し可能です.

`clocal'
モデム制御シグナルを利用不可能にします.取り消し可能です.

`crtscts'
RTS/CTSフロー制御を利用可能にします.非POSIXです.取り消し可 能です.


19.2.2 入力設定

`ignbrk'
ブレーク文字を無視します.取り消し可能です.

`brkint'
ブレークを中断シグナルにします.取り消し可能です.

`ignpar'
パリティエラーの文字を無視します.取り消し可能です.

`parmrk'
(255-0の文字の順に)パリティーエラーに印を付けます.取り消し可能です.

`inpck'
入力パリティチェックを可能にします.取り消し可能です.

`istrip'
入力文字のハイビット(八番目)をクリアします.取り消し可能です.

`inlcr'
ニューラインをキャリッジリターンに変換します.取り消し可能です.

`igncr'
キャリッジリターンを無視します.取り消し可能です.

`icrnl'
キャリッジリターンをニューラインに変換します.取り消し可能です.

`ixon'
XON/XOFFフロー制御(すなわち,CTRL-S/CTRL-Q)を可能にします. 取り消し可能です.

`ixoff'
`tandem'
システム入力バッファがほぼいっぱいのときのstop文字と,再びほと んど空になったときのstart文字の送信を可能にします.取り消し可能 です.

`iuclc'
大文字を小文字に変換します.非POSIXです.取り消し可能です.

`ixany'
あらゆる文字の出力の再開を許可します(取消しの場合は開始文字のみです). 非POSIXです.取り消し可能です.

`imaxbel'
入力バッファがいっぱいになったときに文字が届いた場合,ビープを鳴し,入 力バッファをフラッシュしないことを可能にします.非POSIXです. 取り消し可能です.


19.2.3 出力設定

これらの引数は出力に関連する処理です.

`opost'
出力を後処理します.取り消し可能です.

`olcuc'
小文字を大文字に変換します.非POSIXです.取り消し可能です.

`ocrnl'
キャリッジリターンをニューラインに変換します.非POSIXです. 取り消し可能です.

`onlcr'
ニューラインをキャリッジリターンに変換します.非POSIXです. 取り消し可能です.

`onocr'
最初の列のキャリッジリターンを出力しません.非POSIXです.取 り消し可能です.

`onlret'
ニューラインがキャリッジリターンを実行します.非POSIXです. 取り消し可能です.

`ofill'
遅延に対する時間調整の代わりに,文字の補充(パディング)を使用します.非 POSIXです.取り消し可能です.

`ofdel'
補充に対し,null文字の代わりにデリート文字を使用します.非 POSIXです.取り消し可能です.

`nl1'
`nl0'
ニューラインの遅延形式です.非POSIXです.

`cr3'
`cr2'
`cr1'
`cr0'
キャリッジリターンの遅延形式です.非POSIXです.

`tab3'
`tab2'
`tab1'
`tab0'
水平タブの遅延形式です.非POSIXです.

`bs1'
`bs0'
バックスペースの遅延形式です.非POSIXです.

`vt1'
`vt0'
垂直タブの遅延形式です.非POSIXです.

`ff1'
`ff0'
フォームフィードの遅延形式です.非POSIXです.


19.2.4 ローカル設定

`isig'
interruptquit,そしてsuspend特殊文字を可能にし ます.取り消し可能です.

`icanon'
erasekillwerase,そしてrprnt特殊文字を 可能にします.取り消し可能です.

`iexten'
POSIX特殊文字を可能にします.取り消し可能です.

`echo'
入力文字をエコーバックします.取り消し可能です.

`echoe'
`crterase'
erase文字をバックスペース-スペース-バックスペースとしてエコーバッ クします.取り消し可能です.

`echok'
kill文字の後のニューラインをエコーバックします.取り消し可能です.

`echonl'
他の文字をエコーバックしていなくても,ニューラインをエコーバックします. 取り消し可能です.

`noflsh'
interruptquit特殊文字の後のフラッシュを不可能にします. 取り消し可能です.

`xcase'
icanonが設定されているとき,同じ小文字に`\'を前置すること で,入力と出力の大文字を可能にします.非POSIXです.取り消し 可能です.

`tostop'
端末に書き込もうとしているバックグラウンド処理を停止します.非 POSIXです.取り消し可能です.

`echoprt'
`prterase'
削除された文字を後方の`\'と`/'の間にエコーバックします.非 POSIXです.取り消し可能です.

`echoctl'
`ctlecho'
制御文字を,そのままではなく,ハット表示(`^c')でエコーバッ クします.非POSIXです.取り消し可能です.

`echoke'
`crtkill'
echoctlechokの設定の代わりに,echoprtechoeの設定で示すものとして,行のそれぞれの文字を削除することで, kill特殊文字をエコーバックします.非POSIXです.取り消 し可能です.


19.2.5 組み合わせ設定

組み合わせ設定です.

`evenp'
`parity'
parenb -parodd cs7と同じです.取り消し可能です.取り消しの場合 は,-parenb cs8と同じです.

`oddp'
parenb parodd cs7と同じです.取り消し可能です.取り消しの場合は, -parenb cs8と同じです.

`nl'
-icrnl -onlcrと同じです.取り消し可能です.取り消しの場合は, icrnl -inlcr -igncr onlcr -ocrnl -onlretと同じです.

`ek'
erasekill特殊文字をそのデフォルト値にリセットします.

`sane'
以下と同じです.
 
cread -ignbrk brkint -inlcr -igncr icrnl -ixoff
-iuclc -ixany imaxbel opost -olcuc -ocrnl onlcr
-onocr -onlret -ofill -ofdel nl0 cr0 tab0 bs0 vt0
ff0 isig icanon iexten echo echoe echok -echonl
-noflsh -xcase -tostop -echoprt echoctl echoke
そして,すべての特殊文字をそのデフォルト値に設定します.

`cooked'
brkint ignpar istrip icrnl ixon opost isig icanonと同じで, mintime文字がeofeol文字と同じ場合は, eofeol文字をそのデフォルト値に設定します.取り消し可能 です.取り消しの場合は,rawと同じです.

`raw'
以下と同じです.
 
-ignbrk -brkint -ignpar -parmrk -inpck -istrip
-inlcr -igncr -icrnl -ixon -ixoff -iuclc -ixany
-imaxbel -opost -isig -icanon -xcase min 1 time 0
取り消し可能です.取り消しの場合は,cookedと同じです.

`cbreak'
-icanonと同じです.取り消し可能です.取り消しの場合は, icanonと同じです.

`pass8'
-parenb -istrip cs8と同じです.取り消し可能です.取り消しの場合 は,parenb istrip cs7と同じです.

`litout'
-parenb -istrip -opost cs8と同じです.取り消し可能です.取り消 しの場合は,parenb istrip opost cs7同じです.

`decctlq'
-ixanyと同じです.非POSIXです.取り消し可能です.

`tabs'
tab0と同じです.取り消し可能です.取り消しの場合は,tab3 と同じです.

`lcase'
`LCASE'
xcase iuclc olcucと同じです.非POSIXです.取り消し可 能です.

`crt'
echoe echoctl echokeと同じです.

`dec'
echoe echoctl echoke -ixany intr ^C erase ^? kill C-uと同じです.


19.2.6 特殊文字

特殊文字のデフォルト値はシステムごとに異なります.それらは,構文 `name value'で設定され,nameは以下にリストアップされていて,value はハット表示(`^c')の文字通り,または,16進を示す`0x', 八進数を示す`0',または,十進を示すその他もので始まる整数のどちら かで,与えることが可能です.

GNU sttyに対し,^-undefの値を与えることで,特殊文 字を使用不可能にします.(これは,Ultrix sttyと互換性がなく, それは特殊文字を使用不可能にするために`u'の値を使用します. GNU sttyは,値`u'を他と同じように扱い,言い換える と,特殊文字をUに設定します.)

`intr'
中断シグナルを送信します.

`quit'
終了シグナルを送信します.

`erase'
最後に入力された文字を削除します.

`kill'
現在の行を削除します.

`eof'
ファイルの終りを送信します(入力を終了します).

`eol'
行の終りです.

`eol2'
行の終りの別文字です.非POSIXです.

`swtch'
異なるシェルレイヤーに切り替えます.非POSIXです.

`start'
停止後の出力を再開します.

`stop'
出力を停止します.

`susp'
端末の停止シグナルを送信します.

`dsusp'
入力をフラッシュした後,停止シグナルを送信します.非POSIXです.

`rprnt'
現在の行を再描画します.非POSIXです.

`werase'
最後に入力された単語を消去します.非POSIXです.

`lnext'
入力された次の文字を,それが特殊文字の場合でも,そのまま入力します.非 POSIXです.


19.2.7 特殊設定

`min n'
-icanonが設定されているとき,制限されている時間値までに安全に読 み込む文字の最小数を設定します.

`time n'
-icanonが設定されているとき,文字の最小数が読み込まれていない場 合,読み込み時間切れまでの10秒単位の数字を設定します.

`ispeed n'
入力速度をnに設定します.

`ospeed n'
出力速度をnに設定します.

`rows n'
ttyカーネルドライバに端末の行数nを伝えます.非POSIXです.

`cols n'
`columns n'
カーネルに端末の列数nを伝えます.非POSIXです.

`size'
端末が持っているとカーネルが想像する,列と行の数を表示します.(カーネ ルで行と列をサポートしないシステムでは,特に環境変数LINESCOLUMNSが代わりに使用されます.しかし,GNU sttyは それについて何も知りません.)非POSIXです.

`line n'
回線制御nを使用します.非POSIXです.

`speed'
端末の速度を出力します.

`n'
入出力の速度をnに設定します.nは,以下の一つになります.0 50 75 110 134 134.5 150 200 300 600 1200 1800 2400 4800 9600 19200 38400 exta extbです.extaは19200と同じです. extbは38400と同じです.-clocalが設定されている場合,0は 回線を切断します.


19.3 printenv: すべてまたはいくつかの環境変数を出力

printenvは,環境変数の値を出力します.概要です.

 
printenv [option] [variable]...

引数が指定されていない場合,printenvはすべての環境変数の値を 出力します.それ以外の場合,それは,それぞれの設定されている variableの値を出力し,設定されていないものには何もしません.

オプションは,単独の`--help'または`--version'だけです. See section 2. 共通のオプション.

終了ステータス.

 
0 すべての指定された変数が見つかった場合.
1 指定された変数の少なくとも一つが見つかった場合.
2 書き込みエラーが発生した場合.


19.4 tty: 標準入力につながっている端末のファイル名を出力

ttyは,標準入力が接続してある端末のファイル名を出力します. 標準入力が端末でない場合,それは,`not a tty'を出力します.概要で す.

 
tty [option]...

プログラムは以下のオプションも受け入れます.2. 共通のオプションも参照 してください.

`-s'
`--silent'
`--quiet'
何も出力しません.終了ステータスを返すだけです.

ttyの終了ステータスです.

 
0 標準入力が端末の場合.
1 標準入力が端末でない場合.
2 不正な引数が与えられた場合.
3 書き込みエラーが発生した場合.


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