森泰吉郎記念研究振興基金 研究助成金申請書

「研究育成費−修士課程」

 

研究課題名

単一方向衛星回線のためのアドレス変換機構の研究

研究者氏名

西田 視磨 印 

所属・職名

政策・メディア研究科 修士課程  1年

 

研究テーマ

(25文字以内)

衛星回線のためのアドレス変換機構の大規模性の研究

研究課題

 インターネットの普及に伴って、個人使用者のインターネットへの接続性に対する要求が高まっている。

これに対して近年、安価広帯域な接続路として、デジタル衛星回線に代表される単一方向の通信路が登場した。この通信路の特徴は、個人使用者に、使用者に向かう片方向にのみデータを伝送する、というものである。

しかし、既存のインターネットにおける通信技術は、この片方向通信路と親和性が低い。この問題を解決するために、単一方向衛星回線のためのアドレス変換機構を開発、実装した。このアドレス変換機構は、個人使用者から外部へは地上回線を使用し、外部から個人使用者へは衛星回線を使用するための機構である。

 本研究では、このアドレス変換機構を実用に資するものにするため、本機構の大規模性の検証と向上を行う。

 

 

研究経費
千円未満の端数は切り捨て

研究経費

(千円)

使用内訳(千円)

機器備品費

消耗品費

旅費

謝金

その他

400

400

 

  機器備品費の明細(1点もしくは1組の価格が20万円以上の物品)                               (千円)

品名・使用(製造会社名・型)(数量×単価)

金  額

主な使用者

納入時期

     

 

  消耗品費等の明細 「その他」は会合費、交通費、通信運搬費、印刷費、計算機使用料、現像・焼き付け費、

機器修理費等、種別ごとに記入してください。                      (千円)

消耗品費

旅費

謝金

その他

品名

金額

事項

金額

事項

金額

事項

金額

実験用

コンピュータx3

LANカード

x12

HUB

ケーブル

ディスプレイ

切替器

(100 x 3)

300

(5 x12)

60

10

20

 

10

400

 

 

 

 

 

 

  研究計画1 (研究プロポーサルを修正したもの、あるいは修士論文のプロポーサルを記入してください。)

 

  • 研究の概要

 

本研究では、単一方向衛星回線をインターネット上の通信路として有効に活用するために開発したアドレス変換機構の大規模性を検証する実験と、向上についての研究を行う。インターネットの利用者数の増加に伴って、安価・広帯域な通信路としての衛星回線に注目が集まっている。これを有効に使用する手法としてアドレス変換機構を開発、実装したが、これを実用に資することを目的とする。

 

 

  • 研究の背景

 

現在、インターネットの普及に伴って、一般家庭や小規模事務所などの個人利用者のインターネットへの接続性に対する要求が高まっている。従来、個人利用者へインターネットへの接続性を提供する通信路としては、モデムを使用したアナログ回線やISDN回線等の双方向通信路が一般的であったが、これらは要求を賄うのに充分ではない。これに対して近年、安価・広帯域に接続性を提供する通信路として、デジタル衛星放送やケーブルテレビ網などの設備を利用した通信路が注目されている。これらの通信路は、個々の使用者から見て「内向き」のデータのみを伝送する、単一方向の通信路である。

一方、現在のインターネットにおけるトラフィック傾向には、利用者から外部へ向かう「往路」のトラフィックは少なく、逆に外部から利用者に向かう「復路」のトラフィックは非常に多い、と言う顕著な特徴が見られる。このトラフィック傾向は上述の片方向通信路に非常によく適合する。従って、片方向通信路と既存の双方向通信路を組み合わせることによって、現在のトラフィック傾向に非常によく適合するネットワークが構築できる。

しかし、現在のインターネットにおける通信技術は、通信路の双方向性を前提に設計されているため、受信のみを行う片方向通信路を含むネットワークをインターネットへ接続する場合には、従来のインターネットにおける技術では解決できない問題が発生する。

現在までに、これらの問題を解決し有効なネットワーク・アーキテクチャを構築するための研究として、単一方向衛星回線のためのアドレス変換機構を開発、実装した。本研究の詳細は、電子情報通信学会和文論文誌特集号B-II分冊「衛星実験小特集号」に、「単一方向衛星回線を含むネットワークの為のアドレス変換機構を用いたネットワークアーキテクチャ」として論文を執筆した。この論文は採録が決定しており、平成10年5月に出版される。

これまでの研究によって、アドレス変換機構を使用して、広帯域な単一方向の衛星回線と、狭帯域な既存の地上網を併用した、有効なネットワーク・アーキテクチャを構築できた。

 

 

  • 研究の目的と手法

 

これまでの研究で、片方向通信路と双方向通信路を併用したネットワークを有効に使用する機構を開発した。本研究では、この機構を実用に資するために、機構の大規模性の検証と、その向上を目的とする。

上述の研究では、小規模な実験用のテストベッド・ネットワークを構築し、その動作を検証した。本研究ではその結果をふまえ、本機構が多数の利用者によって使用された場合を想定した実験を行う。

 

本研究では、前述の機構を土台に、多数の使用者を想定し既に実装したアドレス変換機構を改良する。これを、実際の使用を想定した環境で動作検証を行う。検証には、以下のものがあげられる。

 

- 複雑なトポロジーを持つネットワークにおける動作検証

 現在までの動作検証では、単純なトポロジーを持つテストベッド・ネットワーク上のみで検証を行ってきた。本研究では、複雑なネットワーク・トポロジーを持つテストベッドを構築し、その上でアドレス変換機構の動作を検証する。これには、多数のノードを配置し、より実際のネットワークに近いテストベッドを構築する。

 

 

 

  研究計画2 (研究プロポーサルを修正したもの、あるいは修士論文のプロポーサルを記入してください。)

 

- 多数のノードを接続した大規模性の検証

現在までの研究で開発、実装したアドレス変換機構が実用に充分な大規模性を持つために、多数のノードを接続した環境における動作を検証し、機構の大規模性の向上を行う。大規模性の検証と機構の改良を繰り返し、アドレス変換機構が充分な大規模性を持つようにする。

このために、コンピュータを複数用意し本機構を提供する。検証のため実験への参加者を集め、用意したコンピュータによって提供される本機構を使用してもらう。

 

・予想される成果

予想される成果には、以下のようなものが挙げられる。

 

  • 実用に供することのできる片方向通信路のためのアドレス変換機構の開発

本研究の成果によって、実用に耐えうる、片方向通信路のためのアドレス変換機構を開発できる。これによって、デジタル衛星回線やケーブルテレビ網を使用した通信路を、インターネットの個人利用者が有効に使用できる機構を提供できる。

 

  • 開発したアドレス変換機構のパッケージ化と配布

本研究で開発した機構を機構をパッケージ化し、配布する。これによって、より多くのインターネットの個人利用者に、本機構を提供できる。

 

  • インターネットにおける片方向通信路の有効利用

 本機構が広範囲に使用されることによって、インターネットにおける片方向通信路の有効利用が促進される。現在のインターネットにおいて片方向通信路は有効に使用されていないが、これは、片方向通信路特有の問題を解決する一般的な手法が存在しないためである。本機構を使用することによってこの問題が解決されることにより、インターネットにおいて片方向通信路が有効に利用され、現在のトラフィック傾向に適合したネットワークが構築できる。

 

 

 

・参考文献

 

  西田視磨, 楠本博之, 村井純

  単一方向衛星回線を含むネットワークの為のアドレス変換機構を用いたネットワークアーキテクチャ

  電子情報通信学会 和文論文誌B-II分冊 衛星実験小特集号

  1998年5月

 

 

 

 

推薦状-1

推薦者教員名

所属

職名

 

 

 

推薦状-2

推薦者教員名

所属

職名