修士論文要旨

 

多段通信路ネットワークにおける信頼保証型マルチキャストデータ配送システムの設計と実装

 

慶應義塾大学政策メディア研究科・修士課程2年

氏名:____________________

 

本論文では、従来のマルチキャストデータ配送システムの欠点を克服し、有効にマルチキャストを用いた信頼性のあるデータ配送を行う、Segmented Hierarchical Reliable MulticastSHRM:セグメント化階層構造信頼性マルチキャストデータ配送システム)を設計、実装した。

従来のマルチキャストを用いた信頼保証型データ配送では、信頼性の不足、大規模性の不足、配送が効率的でない、といった欠点があり、実用的でない。本研究で提案する方式では、ネットワークをマルチキャスト可能なローカルセグメント(MLS: Multicastable Local Segment)に分割し、このMLS内でデータ配送システムを提供する。データ配送の信頼性保証を行う責任範囲を限定することにより、効率的な信頼保証データ配送を実現した。また、各々自立したMLSが相互に協調することにより、ネットワーク上で規模性を維持しながら信頼性を保証するデータ配送を実現した。

本研究で提案するシステムでは、ネットワークをMLSに分割し、広帯域なものから狭帯域なものへと接続されたMLSの階層構造が与えられた時に、最上位MLSにデータソースを配置し、この上で有効な信頼保証型データ配送を行う。本システムでは、MLS内でデータ配送の信頼性を保証するプロトコル、MLS間を接続し協調させるプロトコル、データソースを最上位MLSまで搬送するプロトコルを提供する。

本論文では、本研究の提案する手法を実装し、テストベッド・ネットワーク上、また衛星回線とEthernetを使用した実際のネットワーク上で性能評価を行った。この結果、本論文で提案する手法では、従来の信頼保証型マルチキャストデータ配送と比較して、効率よくデータが配送できた。

本論文で提案する手法を利用することにより、インターネット上で、デジタルコンテンツの配信などの地面で効率的に信頼性のあるデータ配送が行えるようになる。

 

キーワード

インターネット・マルチキャスト・信頼性・コンテンツ配信