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19. 書式化とハードコピーの出力

Texinfoファイルから印刷されたマニュアルを作成するため,三つの主なシェル コマンドがあります.一つは,Texinfoファイルを印刷されるファイルに変換す るもので,二つ目は索引をソートするもので,三つ目は書式化されたドキュメン トを印刷するものです.シェルコマンドを使用するとき,オペレーティングシス テムのシェルで直接実行したり,GNU Emacs内部のシェルで実行したりすること が可能です.

GNU Emacsを使用している場合,シェルコマンドの代わりにTexinfoモードで提供 されているコマンドを使用することが可能です.ファイルを書式化したり,索引 をソートしたり,結果を印刷したりする三つのコマンドの加え,Texinfoモード は,出力バッファを更新したり,印刷のキューを表示したり,印刷キューからジョ ブを削除したりするコマンドに対するキーバインドを提案します.

19.1 TeXの使用  Use TeX to format for hardcopy.
19.2 textexindexでの書式化  How to format with explicit shell commands.
19.3 texi2dviでの書式化  A simpler way to format.
19.4 lpr -dを使用したシェルでの印刷  How to print.
19.5 Emacsシェルからの実行  How to format and print from an Emacs shell.
19.6 Texinfoモードでの書式化と印刷  How to format and print in Texinfo mode.
19.7 ローカル変数リストの使用  How to print using Emacs's compile command.
19.8 TeX書式化の必要条件の要約  TeX formatting requirements summary.
19.9 TeXに対する準備  What to do before you use TeX.
19.10 Overfull "hboxes"  What are and what to do with overfull hboxes.
19.11 "小さな"本の印刷  How to print small format books and manuals.
19.12 A4用紙への印刷  How to print on A4 or A5 paper.
19.13 @pagesizes [width][, height]: カスタムページサイズ  How to print with customized page sizes.
19.14 断裁トンボと拡大  How to print marks to indicate the size of pages and how to print scaled up output.
19.15 PDF出力  Portable Document Format output.


19.1 TeXの使用

TeXと呼ばれる植字プログラムは,Texinfoファイルの書式化に使用します. TeXは非常に強力な植字プログラムで,正しく使用すると,非常に良い仕事を します.(TeXの入手方法の詳細は,See section How to Obtain TeX.)

スタンドアローンのmakeinfoプログラムとEmacsの関数の texinfo-format-regiontexinfo-format-bufferコマンドは, TeXのように,Texinfoファイルの@-コマンドを全く同じように読み込みます が,Infoファイルの作成とは異なる処理を行います(see section 20.1 Infoファイルの作成).


19.2 textexindexでの書式化

Texinfoファイルを,シェルコマンドtexにTexinfoファイル名を続けて書 式化します.例えば,以下のようにします.

 
tex foo.texi

TeXは,索引や相互参照等の情報を含むいくつかの追加ファイルと, DVIファイル(DVI file)を生成します.DVIファイル(DeVice Independentファイル)は,事実上あらゆるデバイスに出力可能です(以下のセク ションを参照してください).

tex書式化コマンド自身は索引をソートしません.それは,ソートされて いない索引データの出力を書き出します.(texi2dviコマンドは,自動的 に索引を生成します.see section Format with texi2dvi.)texコマンド実行後,印刷する索引を生成するため, 最初に索引をソートする必要があります.texindexコマンドは索引をソー トします.(ソースファイル`texindex.c'は,他の場所から得られることも ありますが,標準的なTexinfo配布物の一部となっています.)

tex書式化コマンドは,標準的な慣習に従う名前でソートされていない索 引ファイルを出力します.`.tex'(または類似のもので,see section `tex invocation' in Web2c)が付いている主な入力ファイルの名前の拡張子は 削除され,索引名の二文字が続きます.例えば,入力ファイル `foo.texinfo'に対する生の索引出力ファイルは,`foo.cp', `foo.vr',`foo.fn',`foo.tp',`foo.pg',そして `foo.ky'です.それらは,正確にtexindexに与える引数です.

全てのソートされていない索引ファイル名を明示的に指定する代わりに, `??'をシェルワイルドカードとして使い,以下の形式でコマンドに与える ことも可能です.

 
texindex foo.??

このコマンドは,texindexを全てのソートされていない索引ファイルで 実行し,それには,@defindex@defcodeindexを使用して独自 に定義したものも含まれます.(たとえ,`foo.el'のように,索引ファイル ではない二文字の拡張子を持つ似た名前のファイルがある場合でも, `texindex foo.??'を実行してもかまいません.texindexコマンド は,そのようなファイルを無視したことを報告します.)

それぞれ指定したファイルに対し,texindexは入力ファイルに`s' を付けた名前を持つソートされた索引ファイルを生成します. @printindexコマンドは,その名前でファイルを探します (see section 4.1 索引メニューと索引の印刷).texindexは生の索引出力ファイ ルを変更しません.

索引のソート後,tex書式化コマンドをTexinfoファイルで再実行する必 要があります.これはDVIファイルを再生成し,このとき索引項目は更新されま す.

最終的に,相互参照で正しいページ番号を得るために,texをもう一度実 行する必要があります.

要約すると,これは五段階の処理です.

  1. Texinfoファイルでtexを実行してください.これは(相互参照が定義され ておらず,索引のない)DVIファイルと,(二文字の拡張子を持つ)生の索引ファイ ルを生成します.

  2. 生の索引ファイルでtexindexを実行してください.これで,適切にソー トされた(三文字の拡張子の)索引ファイルを生成します.

  3. texを再びTexinfoファイルで実行してください.これでDVIファイルを生 成し,索引と定義された相互参照はこのとき再生成しますが,相互参照のページ 番号は一般に正しくないので最後に再生成します.

  4. texindexで再び索引をソートしてください.

  5. texを最後に一度実行してください.このとき相互参照に対し,正しいペー ジ番号を書き出します.

別の方法として,ワンステップで処理します.texi2dvi(see section 19.3 texi2dviでの書式化)を実行してください.

texの実行後,毎回texindexを実行する必要はありません.実行 しない場合は,次の実行時に,tex書式化コマンドはソートされているか どうかにかかわらず,たまたま存在する前回のtexindexの使用から得ら れる索引ファイルを使用します.これは,通常デバッグ中は問題ありません.

完全でないと分かっているドキュメントを印刷したり,ドキュメントの一つの章 だけ印刷したい場合もあります.その場合,通常のTeXが作成した追加ファイ ルと,相互参照が十分でないときTeXが与える警告は厄介になります. @novalidateコマンドでこれを避けることができ,それは @setfilenameコマンド(see section @setfilename) の前で与える必要があります.このため,ファイルの最初はおそらく以 下のようになります.

 
\input texinfo
@novalidate
@setfilename myfile.info
...

@novalidateも,--no-validateオプション(see section 20.1.4 ポインタの照合)を与えたようにmakeinfoで有効に停止します.


19.3 texi2dviでの書式化

texi2dviコマンドは,自動的にtextexindexの両方を, ソートされた索引や相互参照が解決されているDVIファイルを生成するのに必要 な回数実行します.それは,前のセクションで記述された, tex---texindex---tex---texの順番で単純化され ています.

入力ファイル`foo.texi'でtexi2dviを実行するため,以下のように してください(`prompt$ 'はシェルプロンプトです).

 
prompt$ texi2dvi foo.texi

この例で示したように,texi2dviの入力ファイル名は(`.texi', `.texinfo'等の)拡張子を含める必要があります.MS-DOSやおそらく他の環 境では,オペレーティングシステムがシェルで`texi2dvi'スクリプトを呼 び出すことを期待する代わりに,`sh texi2dvi foo.texi'を実行する必要 があるかもしれません.

おそらく,texi2dviの最も役に立つオプションは, `--texinfo=cmd'です.これは,TeXを実行する前の一時的な入力 ファイルのコピーで,@setfilenameの行の後にcmdを単独行で挿 入します.こうすることで,@smallbook (see section 19.11 "小さな"本の印刷), @afourpaper (see section 19.12 A4用紙への印刷)や,@pagesizes (see section 19.13 @pagesizes [width][, height]: カスタムページサイズ)のように,異なる印刷書式を,実際にドキュメントソース を変更することなく指定することが可能になります.(`texinfo.cnf'で, サイト全体に対しこうすることもできます.see section Preparing for TeX.)

他のオプションのリストは,`texi2dvi --help'を実行してください.


19.4 lpr -dを使用したシェルでの印刷

DVIファイルを印刷する正確なコマンドは,システムインストールの状態に依存 します.一般的なものは二つあり,それらは`dvips foo.dvi -o'と `lpr -d foo.dvi'です.

例えば,以下のコマンドで,(おそらく)Bison Manualの索引のソート, 書式化,そして印刷には十分でしょう.

 
tex bison.texinfo
texindex bison.??
tex bison.texinfo
lpr -d bison.dvi

(シェルコマンドはサイトにより異なる可能性があることを覚えておいてくださ い.しかし,これらは通常使用されているバージョンです.)

texi2dviシェルスクリプトを以下のように使用します(前のセクションを 参照してください).

 
texi2dvi bison.texinfo
lpr -d bison.dvi
# or perhaps dvips bison.dvi -o

lprはUnixシステムの標準的なプログラムですが,通常 MS-DOS/MS-Windowsにはありません.ネットワークパッケージにlprとい う名のプログラムが付属していることもありますが,これらは通常,ネットワー ク上のプリントサーバにファイルを送ることに機能が制限されていて,一般に, `-d'オプションはサポートされていません.不幸にも,これらのシステム のいずれかで十分な仕事をしたい場合,DVIファイルを印刷する代わりの方法が あります.


19.5 Emacsシェルからの実行

書式化と印刷のコマンドをGNU Emacs内部のシェルから与えることができます. Emacs内部のシェルを作成するため,M-x shellを入力してください.この シェルでドキュメントの書式化と印刷が可能です.詳細は,See section Format and Print Hardcopy.

texを実行しているシェルバッファへ(から)切替えて,他を編集すること が可能です.遅いマシンで長いドキュメントを書式化する場合,これは大変便利 です.

texi2dviをEmacsシェルから実行することも可能です.例えば,Emacsの 内部シェルから,Using and Porting GNU CCを書式化し印刷する, texi2dviの使用法は以下のようになります.

 
texi2dvi gcc.texinfo
lpr -d gcc.dvi

Texinfoモードでの書式化と印刷に関する詳細は,See section 19.6 Texinfoモードでの書式化と印刷.


19.6 Texinfoモードでの書式化と印刷

Texinfoモードは,TeXの書式化と印刷のための前もって定義されたキーコマ ンドをいくつか提供しています.これらには,索引のソート,プリンタキューを 見ること,書式化ジョブの停止,そしてオペレーションが発生させているバッファ の表示の更新のコマンドが含まれます.

C-c C-t C-b
M-x texinfo-tex-buffer
現在のバッファでtexi2dviを実行します.

C-c C-t C-r
M-x texinfo-tex-region
現在の領域でTeXを実行します.

C-c C-t C-i
M-x texinfo-texindex
texinfo-tex-regionで書式化されたTexinfoファイルの索引をソートしま す.

C-c C-t C-p
M-x texinfo-tex-print
texinfo-tex-regiontexinfo-tex-bufferで作成されたDVIファ イルを印刷します.

C-c C-t C-q
M-x tex-show-print-queue
プリントキューを表示します.

C-c C-t C-d
M-x texinfo-delete-from-print-queue
プリントキューからジョブを削除します.前もってC-c C-t C-qコマンド (texinfo-show-tex-print-queue)で調べたジョブ番号の入力を促されま す.

C-c C-t C-k
M-x tex-kill-job
現在実行している,texinfo-tex-regiontexinfo-tex-bufferで 開始されたTeXジョブや,Texinfoシェルバッファで実行している他のあらゆ るプロセスを停止します.

C-c C-t C-x
M-x texinfo-quit-job
xを送られて,エラーで停止した書式化のジョブを終了します.こうする とき,TeXは行ったことの記録を`.log'ファイルに保存します.

C-c C-t C-l
M-x tex-recenter-output-buffer
TeXの印刷と書式化コマンドを実行しているシェルバッファを,最新出力を表 示させるため再表示します.

このため,バッファを書式化するコマンドの通常の順序は,以下のようになりま す(右はコメントです).

 
C-c C-t C-b             バッファでtexi2dviを実行.
C-c C-t C-p             DVIファイルを印刷.
C-c C-t C-q             プリンタキューの表示.

TexinfoモードのTeX書式化コマンドは,`*tex-shell*'と呼ばれるEmacs のサブシェルを開始します.texinfo-tex-commandtexinfo-texindex-command,そしてtex-dvi-print-commandコマ ンドは,全てこのシェルで実行されます.

コマンドオペレーションを`*tex-shell*'バッファで見ることが可能で,他 のシェルバッファで行うように,`*tex-shell*'バッファに/から切替えて 使用することが可能です.

書式化と印刷コマンドは,いくつかの変数の値に依存します.デフォルト値は以 下のとおりです.

 
    Variable                              Default value

texinfo-texi2dvi-command                  "texi2dvi"
texinfo-tex-command                       "tex"
texinfo-texindex-command                  "texindex"
texinfo-delete-from-print-queue-command   "lprm"
texinfo-tex-trailer                       "@bye"
tex-start-of-header                       "%**start"
tex-end-of-header                         "%**end"
tex-dvi-print-command                     "lpr -d"
tex-show-queue-command                    "lpq"

これらの変数の値を,M-x edit-optionsコマンド(see section `Editing Variable Values' in The GNU Emacs Manual)の使用や, M-x set-variableコマンド(see section `Examining and Setting Variables' in The GNU Emacs Manual)の使用や,`.emacs'初期化ファ イル(see section `Init File' in The GNU Emacs Manual)を使用して変更す ることが可能です.

バージョン20から始まるGNU Emacsは,カスタマイズ(Customize)と呼ばれ る,ユーザフレンドリーなインターフェースを提供していて,それはユーザ定義 可能な変数の値を変えるためのものです.詳細は,See section `Easy Customization Interface' in The GNU Emacs Manual. Texinfo変 数は,M-x customizeコマンドで呼び出すと, `Development/Docs/Texinfo' グループで見つかります.


19.7 ローカル変数リストの使用

TeX書式化コマンドをTexinfoファイルに適用するための更にもう一つの方法 は,Texinfoファイルの終りでローカル変数リスト(local variables list)にそれらのコマンドを書く方法です.textexi2dviコマ ンドをcompile-commandのコマンドとして指定し,M-x compileの 入力でEmacsに実行させることが可能です.これで`*compilation*'バッファ と呼ばれる特別なシェルを作成し,その中でEmacsはコンパイルコマンドを実行 します.例えば,`gdb.texinfo'ファイルの終りに,@byeの後で, 以下を書くことが可能です.

 
Local Variables:
compile-command: "texi2dvi gdb.texinfo"
End:

この手法は,この方法でプログラムをコンパイルするプログラマが,最もよく使 用します.section `Compilation' in The GNU Emacs Manualを参照してく ださい.


19.8 TeX書式化の必要条件の要約

TeXに入力される全てのTexinfoファイルは,\inputコマンドで始まり, @setfilenameコマンドを含んでいる必要があります.

 
\input texinfo
@setfilename arg-not-used-by-TeX

最初のコマンドは,TeXにTexinfoファイルの処理に必要なマクロをロードす るよう指示し,二番目のコマンドは補助ファイルを開きます.

全てのTexinfoファイルは,TeXの処理を終了し未完成のページを強制排出す る行で終る必要があります.

 
@bye

厳密にいうと,これらの行が,全てのTexinfoファイルをTeXで成功裏に処理 するため必要な全てとなります.

しかし通常は,最初に印刷されたマニュアルのタイトルを定義する @settitleコマンド,@setchapternewpageコマンド,タイトル ページ,著作権ページ,そして許可を含んでいます.@byeの他に,ファ イルの終りは通常,索引と目次を含んでいます.(そして,もちろんほとんどの マニュアルは本文も同様に含んでいます.)

詳細は,以下を参照してください.


19.9 TeXに対する準備

TeXは,最初の行の`\input texinfo'コマンドで,`texinfo.tex' ファイルを探す場所を知る必要があります.`texinfo.tex'は,TeXに @-コマンドの処理方法を伝えます.それは,全ての標準的なGNU配布物に含まれ ています.

通常インストーラは,`texinfo.tex'ファイルをGNU Texinfo,Emacs,また はその他のGNUのソフトウェアがインストールされるときにTeXのマクロを含 めるデフォルトのディレクトリに書き込みます.この状況では,TeXはファイ ルを見つけるので,特別なことをする必要はありません.こうならない場合は, TeXを実行するとき,`texinfo.tex'をカレントディレクトリに配置する ことが可能で,TeXはそこで見つけます.

また,他の配布物で`epsf.tex'がまだインストールされていない場合, `epsf.tex'をインストールすべきです.詳細は,@imageコマンド の記述の最後で説明しています(see section 13.11 画像の挿入).

`pdfcolor.tex'がまだインストールされておらずpdftexを使用 する場合も同様です.

更に,追加ファイル`texinfo.cnf'を作成し,同様にインストールしてもか まいません.このファイルは,@setfilenameコマンド (see section @setfilename)が実行されたとき,TeXに読 み込まれます.ローカルサイトの慣習で,好みのあらゆるコマンドをそこに書く ことが可能です.それらは,TeXがTexinfoドキュメントを処理しているとき 読み込まれます.例えば,`texinfo.cnf'が`@afourpaper'を含む場 合(see section 19.12 A4用紙への印刷),全てのTexinfoドキュメントは,実際にそのページサイ ズで処理されます.`texinfo.cnf'に何も書かない場合,それを作成する必 要はありません.

上記の場所のこれらのシステムファイルが十分でない場合,明示的にディレクト リを指定することが可能です.`texinfo.tex'に対し,\inputコマ ンドの後に完全なファイルパスを書くことで可能となります. `texinfo.tex'と`texinfo.cnf'(とその他のTeXが読み込むもの)の 両方を動作させるもう一つの方法は,TEXINPUTS環境変数を`.cshrc' や`.profile'ファイルで設定することです.

`.cshrc'または`.profile'のどちらを使用するかは,Bourneシェル互 換(shbashksh...),またはCシェル互換 (cshtcsh)のコマンドインタプリタのどちらを使用しているか に依存します.後者は,`.cshrc'を初期化情報として読み込み,前者は `.profile'を読み込みます.

`.cshrc'ファイルで,以下のcshコマンド列を使用します.

 
setenv TEXINPUTS .:/home/me/mylib:/usr/lib/tex/macros

`.profile'ファイルで,以下のshコマンド列を使用します.

 
TEXINPUTS=.:/home/me/mylib:/usr/lib/tex/macros
export TEXINPUTS

MS-DOS/MS-Windowsでは,以下のようにします(14)

 
set TEXINPUTS=.;d:/home/me/mylib;c:/usr/lib/tex/macros

DOS/Windowsユーザーは,`autoexec.bat'ファイルやWindowsレジストリに, そのようなコマンドを慣習的に書いています.

これらの設定で,TeXは`\input'ファイルを,最初に`.'で示され る現在のディレクトリで探し,それから仮にユーザーの`me/mylib'ディレ クトリで探し,最後にシステムディレクトリ`/usr/lib/tex/macros'で探し ます.

最後に,TeXがTexinfoをより速くロードできるように,`.fmt'ファイル のダンプを望むかもしれません(see section `Memory dumps' in Web2c). (`texinfo.tex'の更新は再ダンプを要求するので不利になります.) `epsf.tex'がTeXで検索可能だという仮定で,以下のコマンドを実行す ることで可能になります.

 
initex texinfo @dump

(dumpはTeXプリミティブです.) そして,`texinfo.fmt'を .fmtファイルが見つかる場所に移動してください.一般にこれは, TeXをインストールしたサブディレクトリ`web2c'にあります.


19.10 Overfull "hboxes"

TeXでは,右のマージンまで拡張しなければ行を植字できないときもあります. これは,電子メールのネットワークアドレスや非常に長いタイトルのように,ハ イフネーションできない長い単語だとTeXが解釈したとき生じます.これが生 じたとき,TeXは以下のようなエラーメッセージを出力します.

 
Overfull @hbox (20.76302pt too wide)

(TeXでは,行は"水平ボックス"にあるので,"hbox"と言う言葉です. `@hbox'はTeXプリミティブで,Texinfo言語では必要ありません.)

TeXは,Texinfoソースファイルでの行番号と,違反している行のテキストを 表示し,それにはハイフネーションだと考えられる全ての位置に印があります. 植字エラーの詳細は,See section Catching Errors with TeX Formatting.

Texinfoファイルに"overfull hbox"がある場合,文章をoverfull hboxが生じ ないように書き直すことも,そのままにすることも可能です.小さな右のマージ ンへのはみ出しは余り問題とならず,目立たない可能性もあります.

overfull boxesが多く,書き直しに抵抗がある場合,TeXで利用可能な印字空 間を大きく増加させることも可能で,そのため(運が良ければ),以下のようにす ることで多くの悪い行の分割が避けられるでしょう.

 
@tex
\global\emergencystretch = .9\hsize
@end tex

(必要なだけ分数を調節すべきです.) この\emergencystretchに対する 大きな値では,通常は植字の出力品質がひどく低下するので,デフォルトではあ りません.デフォルトは`.15\hsize'です.\hsizeは,現在の行の 幅を含むTeXの寸法です.

しかし,そうしない場合,存在するoverfull boxesに対し,TeXは大きく醜い overfull hboxを含む黒い長方形を行の端に印刷します.ドラフトを修正する場 合,これで問題の場所に気づくでしょう.

そのような奇形物が,最終的な出力物に出現することを阻止するため,Texinfo ファイルの最初に,@titlepageコマンドの前に,単独行で以下を書いて ください.

 
@finalout


19.11 "小さな"本の印刷

デフォルトで,TeXは8.5x11インチの書式で印刷するためページに植字します. しかし,以下のコマンドを単独行で,Texinfoファイルのタイトルページの前の 最初に挿入することで,製本に適した7x9.25インチの書式にするよう,TeXに 命令可能です.

 
@smallbook

(多くの本はたいてい7x9.25インチなので,このコマンドは, @regularbooksizeコマンドと呼ぶ方が良いかもしれませんが,8.5x11イ ンチの書式との対比で@smallbookコマンドと呼ばれるようになりました.)

@smallbookコマンドをstart-of-headerとend-of-header行の間に書く場 合,TexinfoモードのTeXの領域書式化コマンド,texinfo-tex-region は,"小さな"本のサイズに領域を書式化します(see section 3.2.2 ヘッダの始まり).

より小さなマニュアルを簡単に作成するコマンドの例の情報は,See section 10.7 @small...ブロックコマンド.

ソースファイルを変更せず@smallbookで書式化を行う方法は, See section 19.3 texi2dviでの書式化. また,Preparing for TeXを参照してください.


19.12 A4用紙への印刷

ヨーロッパサイズのA4(またはA5)用紙に印刷するため,ドキュメントの書式化を @afourpaper (または@afivepaper)コマンドでTeX伝えるこ とが可能です.Texinfoファイルの最初付近にタイトルページの前に,単独行で コマンドを書いてください.例えば,このマニュアルのヘッダに書く方法は以下 のようになります.

 
\input texinfo    @c -*-texinfo-*-
@c %**start of header
@setfilename texinfo
@settitle Texinfo
@afourpaper
@c %**end of header

ソースファイルの変更を必要とすることなく,異なる用紙サイズで書式化を行う 方法は,See section 19.3 texi2dviでの書式化. また,Preparing for TeXを参照してください.

コマンド@afourlatexの結果の書式化の方がいいかもしれませんし,ま たそうでないかもしれません.A4用紙での幅広の書式のため, @afourwideもあります.


19.13 @pagesizes [width][, height]: カスタムページサイズ

ページの主なテキストの領域の高さと(オプションで)幅を,@pagesizes コマンドで明示的に指定できます.Texinfoの最初付近で,タイトルページの前 に単独行で書いてください.最初が高さで必要なら幅をカンマで区切って書きま す.以下が例です.

 
@pagesizes 200mm,150mm  
そして以下も例です.
 
@pagesizes 11.5in      

これは,B5サイズの用紙への印刷に対し妥当です.強調しますが,このコマンド はテキストエリアを指定するコマンドで,用紙サイズを指定しません (250mmx177mmはB5で,14inx8.5inはleagalです).

ページのマージンを変更するような,より精密な変更に対しては, `texinfo.tex'(または,`texinfo.cnf'see section Preparing for TeX)で新しいコマンドを定義する必要があります.

ソースファイルを変更せず@pagesizesを指定する方法は,See section 19.3 texi2dviでの書式化. また,Preparing for TeXを参 照してください.

@pagesizesmakeinfoでは無視されます.


19.14 断裁トンボと拡大

@cropmarksコマンドで,TeXにページの角に断裁トンボを印刷させ (てみ)ることが可能です.タイトルページの前で,Texinfoファイルの最初の方 に,@iftex@end iftex行の間に,単独行で, @cropmarksコマンドを以下のように書いてください.

 
@iftex
@cropmarks
@end iftex

このコマンドは,主にプリンタが複数ページを1枚のフィルムシートに植字する ためのものですが,@smallbookコマンドで,7x9.25インチに設定した本 の四隅に印を付けてみることも可能です.(通常の大きさの用紙に印刷するため の通常の大きさの出力に対して,プリンタは断裁トンボを生成しません.)異な る印刷機は異なる方法で動作するので,冒険心でこのコマンドを使用してみるべ きです.`texinfo.tex'にコマンドを再定義する必要があるかもしれません.

\magというTeXコマンドで,通常より大きいまたは小さいページに TeXに植字させ(てみ)ることができます.植字される全てのものは,相対的に 大きくまたは小さく大きさを調整されます.(\magは"magnification(拡 大)"を意味します.)これは,Texinfoの@-コマンドではありませんが, バックスラッシュを前置した,普通のTeXコマンドです.このコマンドは, @tex@end texの間に書く必要があります(see section 16.3 生の書式化コマンド).

以下の`='と数字が付いている\magコマンドは,希望する倍率の 1000倍です.例えば通常サイズの1.2倍に印刷するため,タイトルページの前で, Texinfoファイルの最初の方に以下のように書いてください.

 
@tex
\mag=1200
@end tex

印刷技術によっては,印刷店に通常より大きなマスターを与えることで,より良 く見える通常サイズのコピーを印刷可能です.彼らはそれにより,効率的に解像 度をあげ,縮小します.

システムによっては,標準でない\magを使用したDVIファイルは,印刷で きなかったり,特定の拡大率でしか印刷できなかったりします.試してみたくだ さい.


19.15 PDF出力

普通のtexの代わりに,ファイルを処理するpdftexプログ ラムを使用することで,TexinfoソースファイルからPDF出力ファイルを生成する ことが可能となります.`tex foo.texi'の代わりに`pdftex foo.texi'を実行するか,texi2dviに`--pdf'オプションを与え てください.

PDFは`Portable Document Format(移植可能な文書のフォーマット)'を意 味しています.それは数年前に,ドキュメントの相互変換のために,PostScript 言語をベースにして,アドビシステムズで開発されました.X window systemに 対するPDF readerは, definition of the file formatでそのまま自由に利用することが可能です.PDFは,バイナリ 形式なので,他の出力形式のような`@ifpdf'や`@pdf'コマンドはあ りません.

名前に`portable'があるにもかかわらず,PDFファイルはTexinfoがサポートする 普通のASCII形式の(InfoやHTML)程,実際には移植性がありません(DVIと比較し た移植性は,議論の余地があります).それらは,かなり大きくなりつつあり, TeXで(デフォルトで)非常によく使用されているビットマップフォントをサポー トしていません.それにもかかわらず,PDFファイルは画面上のドキュメントを できる限り忠実に実際の印刷物に対して維持するので,地位を保っています.

TexinfoのPDFサポートはかなり基本的です.


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