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m4
には部分文字列の抽出、検索、置換など様々な方法でテキストを
操作するための組み込みマクロがあります。
10.1 文字列の長さを計算する | ||
10.2 部分文字列を検索する | ||
10.3 正規表現で検索する | ||
10.4 部分文字列を抽出する | ||
10.5 文字の置換 | ||
10.6 正規表現でテキストの置換をする | ||
10.7 書式付き出力 | 文字列を(printf風に)フォーマットする |
文字列の長さはlen
で数えられます。
len(string) |
このマクロはstringの長さを表す10進数に展開されます。
len() ⇒0 len(`abcdef') ⇒6 |
組み込みマクロlen
は引数を与えたときだけ認識されます。
部分文字列の検索はindex
で行います。
index(string, substring) |
このマクロはstringの中でsubstringが最初に出現する
位置のインデックスに展開されます。
stringの先頭にある文字のインデックスは0です。
substringがstringに含まれないとき、
index
は`-1'に展開されます。
index(`gnus, gnats, and armadillos', `nat') ⇒7 index(`gnus, gnats, and armadillos', `dag') ⇒-1 |
組み込みマクロindex
は引数を与えたときだけ認識されます。
正規表現の検索は組み込みマクロregexp
で行います。
regexp(string, regexp, opt replacement) |
このマクロはregexpでstringの中を検索します。 正規表現の構文はGNU Emacsのものと同じです。 See (emacs)Regexps section `Syntax of Regular Expressions' in The GNU Emacs Manual.
replacementを省略すると、regexp
はstringの中で
regexpに最初にマッチした部分のインデックスに展開されます。
regexpがstringのどこにもマッチしない場合は-1に展開されます。
regexp(`GNUs not Unix', `\<[a-z]\w+') ⇒5 regexp(`GNUs not Unix', `\<Q\w*') ⇒-1 |
replacementを与えたときは、regexp
はこの引数の値に展開されます。
このときreplacementに含まれる`\n'はregexp中の
n番目のカッコでくくられた部分式にマッチしたテキストに置き換えられ、
`\&'は正規表現全体にマッチしたテキストに置き換えられます。
regexp(`GNUs not Unix', `\w\(\w+\)$', `*** \& *** \1 ***') ⇒*** Unix *** nix *** |
組み込みマクロregexp
は引数を与えたときだけ認識されます。
部分文字列はsubstr
を使って抽出します。
substr(string, from, opt length) |
このマクロはstringのインデックスfromから始まるlength文字分 の部分文字列に展開されます。 lengthを省いたときはstringの最後までになります。 文字列の最初のインデックスは常に0です。
substr(`gnus, gnats, and armadillos', 6) ⇒gnats, and armadillos substr(`gnus, gnats, and armadillos', 6, 5) ⇒gnats |
組み込みマクロsubstr
は引数を与えたときだけ認識されます。
文字の置き換えはtranslit
で行います。
translit(string, chars, replacement) |
stringの各文字のうちcharsに出て来る文字をそれぞれ replacement中で同じ位置にある文字に置き換えたものに展開されます。
replacementがcharsより短いときは 余分な文字は展開後のテキストから削除されます。 replacementを省略すると展開後のテキストは stringからcharsに含まれる文字すべてを削除したものになります。
charsとreplacementのどちらにも文字範囲を含めることができます。 たとえば`a-z' (すべての小文字アルファベット)や `0-9' (すべての数字)などです。 charsやreplacementにダッシュ`-'そのものを含めるときは 最初か最後に置いてください。
範囲の最後の文字が最初の文字より`小さい'場合もエラーではありません。 そういうケースでは範囲が逆に広がります。 つまり`9-0'は文字列`9876543210'を意味します。
translit(`GNUs not Unix', `A-Z') ⇒s not nix translit(`GNUs not Unix', `a-z', `A-Z') ⇒GNUS NOT UNIX translit(`GNUs not Unix', `A-Z', `z-a') ⇒tmfs not fnix |
最初の例は大文字のアルファベットをすべて削除します。 2番目の例は小文字を大文字に変換します。 3番目の例は大文字すべてを小文字に変換しながら`反転'させます。 使用頻度は最初の2つの例のほうがはるかに高いです。
組み込みマクロtranslit
は引数を与えたときだけ認識されます。
文字列の全置換(global substitution)はpatsubst
で行います。
patsubst(string, regexp, opt replacement) |
string中でregexpにマッチする部分を探し、 それらをすべてreplacementに置換します。 正規表現の構文はGNU Emacsのものと同じです。
stringの中でregexpに適合するどの箇所にも含まれない部分は展開後の テキストにそのまま残ります。 マッチする箇所が見つかるたびに、 サーチはそのマッチした箇所の終りから続行されます。 したがってstring内のある文字が2回置換されることは決してありません。 regexpが長さ0の文字列にマッチしたときは、 無限ループを避けるためサーチの開始位置は1文字前に進められます。
置き換えが行われるときは、replacementに含まれる`\n'を regexp内のカッコでくくられたn番目の部分式にマッチしたテキスト に置き換え、`\&'を正規表現全体にマッチしたテキストに置き換えたものが 展開後のテキストに挿入されます。
引数replacementは省略することができます。 そのときはregexpにマッチしたテキストは削除されます。
patsubst(`GNUs not Unix', `^', `OBS: ') ⇒OBS: GNUs not Unix patsubst(`GNUs not Unix', `\<', `OBS: ') ⇒OBS: GNUs OBS: not OBS: Unix patsubst(`GNUs not Unix', `\w*', `(\&)') ⇒(GNUs)() (not)() (Unix) patsubst(`GNUs not Unix', `\w+', `(\&)') ⇒(GNUs) (not) (Unix) patsubst(`GNUs not Unix', `[A-Z][a-z]+') ⇒GN not |
次はもうすこし現実的な例です。
文字列の中にマクロupcase
とdowncase
の呼び出しを挿入することで、
単独の単語または文全体をキャピタライズ(capitalize)します。
define(`upcase', `translit(`$*', `a-z', `A-Z')')dnl define(`downcase', `translit(`$*', `A-Z', `a-z')')dnl define(`capitalize1', `regexp(`$1', `^\(\w\)\(\w*\)', `upcase(`\1')`'downcase(`\2')')')dnl define(`capitalize', `patsubst(`$1', `\w+', `capitalize1(`\&')')')dnl capitalize(`GNUs not Unix') ⇒Gnus Not Unix |
組み込みマクロpatsubst
は引数を与えたときだけ認識されます。
書式付き出力はformat
を使って行うことができます。
format(format-string, ...) |
このマクロはC言語の関数printf
とよく似た動作をします。
最初の引数は書式指定文字列で`%'指定を含めることができます。
format
は展開されると書式付の文字列になります。
2, 3の例を使って説明するのが一番でしょう。
define(`foo', `The brown fox jumped over the lazy dog') ⇒ format(`The string "%s" is %d characters long', foo, len(foo)) ⇒The string "The brown fox jumped over the lazy dog" is 38 characters long |
See section ループと再帰で定義されているforloop
マクロを使って
表形式の出力をするときはformat
を次のように使うことができます。
forloop(`i', 1, 10, `format(`%6d squared is %10d ', i, eval(i**2))') ⇒ 1 squared is 1 ⇒ 2 squared is 4 ⇒ 3 squared is 9 ⇒ 4 squared is 16 ⇒ 5 squared is 25 ⇒ 6 squared is 36 ⇒ 7 squared is 49 ⇒ 8 squared is 64 ⇒ 9 squared is 81 ⇒ 10 squared is 100 |
組み込みマクロformat
はANSI Cの`printf'関数をモデルとしており、
次の標準的な`%'指定をサポートしています: `c', `s', `d',
`o', `x', `X', `u', `e', `E', `f'。
またフィールド幅と精度指定、モディファイア `+', `-', ` ',
`0', `#', `h', `l'をサポートしています。
printf
の動作について更に詳しいことは
C ライブラリマニュアルを見てください。
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This document was generated by Akihiro Sagawa on June, 15 2005 using texi2html 1.70.