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6. ファイルの要約

以下のコマンドは,ファイルの内容全体を表現するいくつかの数字を生成しま す.


6.1 wc: 改行,単語,そしてバイト数を出力

wcは,それぞれの与えられたfileや,与えられなかった場合 や`-'のfileに対し,バイト数,文字,空白で区切られた単語,そ して改行を数えます.概要です.

 
wc [option]… [file]…

wcは,それぞれのファイルに対し,数えたものを一行出力し,ファ イルが引数として与えられた場合,数に続けてファイル名を出力します.一つ 以上のfileが与えられた場合,wcは,ファイル名 `total'と共に,累積された数を最終行に出力します.数は,以下の順序 で出力されます.改行,単語,文字,バイトです.それぞれの計数結果は,数 字とファイル名の行が列にうまく並ぶように,右寄せで,それぞれのフィール ドの間に少なくとも一つのスペースを入れて出力します.計数結果のフィール ドの幅は,入力に依存して変化するので,特定のフィールドの幅に依存すべき ではありません.しかし,GNUの拡張として,一つの計数結果だけ を出力する場合,前置されるスペースを用いずに出力されることが保証されま す.

デフォルトで,wcは三つの数すべてを出力します.オプションで, 出力したい数のみを指定することができます.オプションは,前に与えられた ものを元に戻すことはできません.そのため,以下のようにした場合を考えま す.

 
wc --bytes --words

これは,バイト数と単語の数の両方を出力します.

`--max-line-length'オプションを用いた場合,wcはファイ ルごとの最長の行の長さを出力し,一つ以上のファイルがある場合,それらの 長さの(合計ではなく)最大を出力します.

プログラムは以下のオプションも受け入れます.共通のオプションも参照し てください.

` -c'
` --bytes'

バイト数のみ出力します.

` -m'
` --chars'

文字数のみ出力します.

` -w'
` --words'

単語数のみ出力します.

` -l'
` --lines'

改行数のみ出力します.

` -L'
` --max-line-length'

最長行の長さのみ出力します.

終了ステータスのゼロは成功を示し,ゼロ以外の値は失敗を示します.


6.2 sum: チェックサムとブロック数を出力

sumは,与えられたそれぞれのfile,または,与えられない 場合や`-'のファイルが与えられた場合は標準入力の16ビットのチェック サムを計算します.概要です.

 
sum [option]… [file]…

sumは,それぞれのfileのチェックサムに続けて,ファイル のブロック数を(切り上げで)出力します.一つ以上のfileが与えられた 場合,ファイル名も出力します(デフォルト).(`--sysv'オプションを 指定した場合,少なくとも一つのファイル引数があるときは,対応するファイ ル名が出力されます.)

デフォルトで,GNU sumは,BSD sumと互換性のあ るアルゴリズムを用いて計算し,ファイルサイズを1024バイトブロックの単位 で出力します.

プログラムは以下のオプションも受け入れます.共通のオプションも参照 してください.

` -r'

デフォルト(BSD互換)のアルゴリズムを使用します.このオプションは, System V sumとの互換性も含みます.`-s'を与えない限り, 効果はありません.

` -s'
` --sysv'

System V sumのデフォルトと互換のアルゴリズムを使用して,チェッ クサムを計算し,512バイトブロックの単位でファイルサイズを出力します.

sumは,互換性のために提供されています.新しいアプリケーショ ンでは,cksumプログラム(次のセクションを参照)が望ましいでしょ う.

終了ステータスのゼロは成功を示し,ゼロ以外の値は失敗を示します.


6.3 cksum: CRCチェックサムとバイトカウントを出力

cksumは,与えられたそれぞれのfile,または,与えられな い場合や`-'のファイルが与えられた場合は標準入力の周期的な冗長性の 調査(CRC)のチェックサムを計算します.概要です.

 
cksum [option]… [file]…

cksumは,ファイルのバイト数と一緒に,それぞれのファイルに対 し,CRCチェックサムと,引数が与えられていない場合以外はファイル名を出 力します.

cksumは,通常,信用できない手段(例えば,ネットニュース)で転 送されたファイルが切り詰められていないか,受信したファイルの cksum出力と元ファイルのcksum出力(通常は配布物で与 えられます)を比較することで確認するために使用します.

CRCアルゴリズムは,POSIX標準で指定されました. BSDやSystem V sumアルゴリズムとは互換性がありません(前のセクションを参照し てください).それはより強固です.

オプションは`--help'と`--version'だけです.See section 共通のオプション.

終了ステータスのゼロは成功を示し,ゼロ以外の値は失敗を示します.


6.4 md5sum: メッセージダイジェストの出力と調査

md5sumは,それぞれ指定されたfileに対し,128-bitチェッ クサム(またはfingerprint,またはmessage-digest)を計算しま す.fileが`-'で指定されたり,ファイルが与えられていない場合 は,md5sumは標準入力のチェックサムを計算します. md5sumは,ファイルとチェックサムが一貫しているかどうか決定す ることも可能です.概要です.

 
md5sum [option]… [file]…
md5sum [option]… --check [file]

それぞれのfileに対し,`md5sum'は,MD5チェックサム,入力ファ イルがバイナリかテキストかを示すフラグ,そしてファイル名を出力します. fileが無い,または`-'として指定されている場合,標準入力を読 み込みます.

プログラムは以下のオプションも受け入れます.共通のオプションも参照 してください.

` -b'
` --binary'

全ての入力ファイルをバイナリとして扱います.このオプションは,Unixシス テムではバイナリとテキストでファイルに差が無いので効果がありません.こ のオプションは,内部と外部での文字表示が異なるシステムでは便利です. MS-DOSとMS-Windowsでは,これはデフォルトです.

` -c'
` --check'

ファイル名とチェックサム情報を,単一のfile(または,fileが 指定されない場合は標準入力)から読み込み,それぞれの指定された名前のファ イルと対応するチェックサムデータが対応しているかどうか報告します. md5sumのこのモードでの入力は,通常,`md5sum'を実行して 生成されたチェックサムで,それは以前の出力です.それぞれの入力の有効な 行は,MD5チェックサムから成り立ち,バイナリ/テキストフラグと,ファイル 名です.バイナリファイルは`*'で,テキストは` 'で印が付きます. それぞれのそのような行に対し,md5sumは,指名されたファイルを 読み込み,そのMD5チェックサムを計算します.そして,計算されたメッセー ジダイジェストが,ファイル名を持つ行の一つとマッチしない場合,ファイル にはテストに失敗したというメモが付きます.それ以外の場合,ファイルは調 査をパスします.デフォルトで,それぞれの有効な行に対し,指名されたファ イルが調査を通過したかどうかを示す一行を,標準出力に書き出します.全て の調査の実行後,失敗があった場合,警告を標準エラーに出力します.出力を 抑制するために,`--status'オプションを使用してください.リスト アップされたファイルに,開いたり読み込んだりすることが不可能なものがあ る場合,有効な行が関連するファイルとMD5チェックサムに対応しない場合, または,有効な行が見つからない場合,md5sumはゼロ以外のステー タスで終了します.それ以外の場合は,正しく終了します.

` --status'

このオプションは,チェックサムの照合時のみ便利です.チェックサムを照合 するとき,デフォルトのファイルに対し一行の診断を生成せず,あらゆる失敗 を要約する警告を出力しません.ファイルを開くあるいは読み込む際の失敗は, 標準エラーに個別の診断結果を出力します.リストアップされたファイルがす べて読み込み可能で,対応するMD5チェックサムと対応している場合,正しく 終了します.それ以外の場合,失敗があることを示すステータスコードで終了 します.

` -t'
` --text'

全ての入力ファイルを,テキストファイルとして扱います.このオプションは `--binary'の反対です.

` -w'
` --warn'

チェックサムを照合するとき,不適切に書式化されたMD5チェックサム行につ いて警告します.このオプションは,入力の調査で,全てではなくいくつかの 行が有効な場合のみ便利です.

終了ステータスのゼロは成功を示し,ゼロ以外の値は失敗を示します.


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This document was generated by Akihiro Sagawa on June, 8 2005 using texi2html 1.70.