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3. ファイル全体の出力

以下のコマンドは,いくつかの方法で,おそらくファイルを変換しながら,ファ イル全体を読み込み,そして書き出します.

3.1 cat: ファイルを連結し書き込む  Concatenate and write files.
3.2 tac: 逆順にファイルを連結し書き込む  Concatenate and write files in reverse.
3.3 nl: 行に番号を付けファイルに書き込む  Number lines and write files.
3.4 od: 八進数やその他の書式でファイルを書き出す  Write files in octal or other formats.


3.1 cat: ファイルを連結し書き込む

catは,それぞれのfile(`-'は標準入力を意味します) や,与えられない場合は標準入力を標準出力へコピーします.概要です.

 
cat [option] [file]...

プログラムは以下のオプションを受け入れます.2. 共通のオプションも参照 してください.

`-A'
`--show-all'
`-vET'と等価です.

`-B'
`--binary'
MS-DOSとMS-Windowsのみで,ファイルをバイナリモードで読み書きします.デ フォルトで,MS-DOS/MS-Windowsでのcatは,標準出力がファイルや パイプにリダイレクトされているときだけ,バイナリモードを使用します.こ のオプションはそれに優先します.バイナリファイルのI/Oでは, catはファイルのコピープログラムとして使用されることが多いの で,それらの書式(DOSテキストとバイナリに対するUnixテキスト)を保つため に使われます.(以下の)オプションには,元ファイルの内容が重要でないとき には,catにテキストモードでファイルを読み書きさせるものもあ ります(例えば,行がcatで番号付けされるときや行の終りに印を付 けるとき).これは,これらのオプションをDOS/Windowsユーザが期待したよう に動作させるためのものです.例えば,DOS形式のテキストファイルは,テキ ストモードで読まれない場合,`-b'で空の行として扱われない,CR-LF というペアの文字が行末にあります.

`-b'
`--number-nonblank'
空白でない全ての出力行に,1で始まる番号を付けます.MS-DOSとMS-Windows では,このオプションで,catはテキストモードでファイルを読み 書きします.

`-e'
`-vE'と等価です.

`-E'
`--show-ends'
それぞれの行末の後に`$'を表示します.MS-DOSとMS-Windowsでは, catはこのオプションでテキストモードでファイルを読み書きしま す.

`-n'
`--number'
全ての出力行に,1で始まる番号を付けます.MS-DOSとMS-Windowsでは, catはこのオプションでテキストモードでファイルを読み書きしま す.

`-s'
`--squeeze-blank'
複数の隣接した空白行を,一行のブランク行に置換します.MS-DOSと MS-Windowsでは,catはこのオプションでテキストモードでファイ ルを読み書きします.

`-t'
`-vT'と等価です.

`-T'
`--show-tabs'
TAB文字を `^I'として表示します.

`-u'
無視されます.Unix互換性のためです.

`-v'
`--show-nonprinting'
LFDとTAB以外のコントロール文字を,`^'表記法を使用して表示し, `M-'を使用したハイビットセットがある文字に前置します.MS-DOSと MS-Windowsでは,catはこのオプションでDOSバイナリモードでファ イルと標準入力を読み込むので,それぞれの行末のCR文字が表示されます.


3.2 tac: 逆順にファイルを連結し書き込む

tacは,それぞれのfile(`-'は,標準入力を意味します) や,与えられない場合は標準入力を,個々に分割されたレコード(デフォルト は行)を逆順にしながら,標準出力へコピーします.概要です.

 
tac [option]... [file]...

レコード(record)は,文字列のインスタンス(デフォルトは改行)で分け られています.デフォルトで,このセパレータ文字列はファイルのレコードの 終りに続けて付加されます.

プログラムは以下のオプションを受け入れます.2. 共通のオプションも参照 してください.

`-b'
`--before'
セパレータを,ファイルのレコードの最初に前置して付加します.

`-r'
`--regex'
セパレータ文字列を正規表現として扱います.MS-DOS/MS-Windowsでの tacユーザは,tacがファイルをバイナリモードで読むた め,テキストファイルのそれぞれの行はUnixスタイルのLFの代わりにCR/LFの ペアで終ることに注意すべきです.

`-s separator'
`--separator=separator'
separatorを,改行の代わりにセパレータ文字列として用います.


3.3 nl: 行に番号を付けファイルに書き込む

nlは,それぞれのfile(`-'は標準入力を意味します)や, 与えられない場合は標準入力を,いくつかの行や全ての行に行番号を加えて標 準出力へ書き出します.概要です.

 
nl [option]... [file]...

nlは,入力を(論理)ページに分解します.デフォルトで,それぞれ の論理ページのトップで,行番号が1にリセットされます.nlは全 ての入力ファイルを単一のドキュメントとして扱います.行番号や論理ページ をファイル間でリセットしません.

論理ページは三つのセクションから成立ちます.ヘッダ,ボディ,そしてフッ タです.任意のセクションを,空にすることも可能です.それぞれ異なるスタ イルで番号を付けることが可能です.

論理ページのセクションの最初は,以下のデリミタ文字列の一つを入力ファイ ルに単一行で含めることで示されます.

`\:\:\:'
ヘッダの始まり.
`\:\:'
ボディの始まり.
`\:'
フッタの始まり.

これらの文字列を構成する二つの文字を,`\'と`:'から変更するこ とはオプション(以下を参照)で可能ですが,パターンと文字列の長さの変更は 不可能です.

セクションデリミタは,出力では空行に置換されます.入力ファイルの,最初 のセクションのデリミタ文字列より前のあらゆるテキストは,ボディセクショ ンの一部と考えられるので,nlは,セクションデリミタが無いファ イルを,一つのボディセクションとして扱います.

プログラムは以下のオプションを受け入れます.2. 共通のオプションも参照 してください.

`-b style'
`--body-numbering=style'
それぞれの論理ページのボディセクションの行に対する番号付けのスタイルを 選択します.行が番号付けされないとき,現在の行番号は増加しませんが,行 番号と分離する文字列が行に前置されます.スタイルは以下のとおりです.

`a'
全ての行に番号を付けます.
`t'
(デフォルトでボディに対し)空でない行だけ,番号を付けます.
`n'
(デフォルトでヘッダやフッタに対し)番号を付けません.
`pregexp'
regexpにマッチしたものを含む行だけ番号を付けます.

`-d cd'
`--section-delimiter=cd'
セクションを分離する文字をcdに設定します.デフォルトは`\:' です.cのみ与えられた場合,二番目の`:'はそのままです.(シェ ルが展開する`\'やその他のメタ文字を,引用符やバックスラッシュの追 加で保護することを忘れないでください.)

`-f style'
`--footer-numbering=style'
`--body-numbering'の同類です.

`-h style'
`--header-numbering=style'
`--body-numbering'の同類です.

`-i number'
`--page-increment=number'
行番号をnumberずつ(デフォルトは1)増加します.

`-l number'
`--join-blank-lines=number'
number(デフォルトは1)連続した空行を,番号付としては一つの論理行 だと考え,最後のものだけに番号付けします.numberより少ない行の連 続した空行があるところでは番号付けをしません.空行とは,文字を含まずス ペースやタグも含まないものです.

`-n format'
`--number-format=format'
行の番号付けの書式を選択します(デフォルトはrnです).

`ln'
左寄せで,先頭にゼロを書きません.
`rn'
右寄せで,先頭にゼロを書きません.
`rz'
右寄せで,先頭にゼロを書きます.

`-p'
`--no-renumber'
論理ページの最初で,行番号をリセットしません.

`-s string'
`--number-separator=string'
出力で,stringを使って(デフォルトはTAB文字)テキスト行と行番号を 分離します.

`-v number'
`--starting-line-number=number'
それぞれの論理ページの行番号の初期値を,number(デフォルトは1)に 設定します.

`-w number'
`--number-width=number'
行番号に,number文字使います(デフォルトは6).


3.4 od: 八進数やその他の書式でファイルを書き出す

odは,それぞれのfile(`-'は標準入力を意味します)や, 与えられない場合は標準入力を明瞭な表現で書き出します.概要です.

 
od [option]... [file]...
od --traditional [file] [[+]offset [[+]label]]

それぞれの出力行は,入力オフセットとそれに続くファイルデータのグループ から成り立ちます.デフォルトで,odは八進数でオフセットを出力 し,それぞれのファイルのデータグループは,一つの八進数として出力される 入力からの二バイトです.

プログラムは以下のオプションを受け入れます.2. 共通のオプションも参照 してください.

`-A radix'
`--address-radix=radix'
出力するファイルオフセットの基数を選択します.radixは,以下の一 つが使用可能です.

`d'
十進数.
`o'
八進数.
`x'
16進数.
`n'
なし(出力オフセットを出力しません).

デフォルトは八進数です.

`-j bytes'
`--skip-bytes=bytes'
書式化と書き出しの前に,入力バイトのbytesスキップします. bytesが`0x'や`0X'で始まる場合,16進数と解釈されます. それ以外で`0'で始まる場合は八進数.それ以外では十進数です. `b'の追加でbytesを512倍し,`k'は1024倍,そして`m' は1048576倍します.

`-N bytes'
`--read-bytes=bytes'
入力の最大bytesバイトを出力します.bytesに対する接頭辞と 接尾子は,`-j'のものと同じように解釈されます.

`-s n'
`--strings[=n]'
通常の出力の代わりに,文字列定数(string constants)だけを出力しま す.それは,少なくともn個の連続したASCIIの印字可能な文 字で,それにはnull(ゼロ)バイトが続きます.

`--strings'でnが省略されている場合,デフォルトは3です.古 いシステムでは,GNU odは時代遅れのオプション `-s[n]'をサポートしていて,そこでのnのデフォルトも3 です.POSIX 1003.1-2001 (see section 2.6 標準への準拠)では, 引数を用いない`-s'は許可されません.代わりに`--strings' を使用してください.

`-t type'
`--format=type'
ファイルデータの出力書式を選択します.typeは,以下の形式を示す文 字の一つ以上の文字列です.単一のtype文字列に,一つ以上の形式を示 す文字を含めたり,一回以上このオプションを使用した場合,odは, それぞれの指定したデータ形式を用いて,それぞれの出力行のコピーを,指定 した順番で書き出します.

あらゆる形式指定の終りに"z"を加えることで,形式指定で生成された出力 行に,印刷可能な文字に存在するASCII文字の表示を加えます.

`a'
指名された文字.
`c'
ASCII文字,またはバックスラッシュエスケープ.
`d'
符号付き十進数.
`f'
浮動小数点.
`o'
八進数.
`u'
符号無し十進数.
`x'
16進数.

形式aは,スペースに対し`sp',改行に対し`nl',そして null(ゼロ)バイトに対し`nul'のようなものを出力します.形式c は,それぞれ` ',`\n',そして\0を出力します.

`a'と`c'以外の形式に対し,それぞれの数字の解釈に使用するバイ ト数を,以下の十進の整数を用いた形式を示す文字で与えられているデータ形 式で指定することができます.代わりに,以下の文字の一つを用いた形式を示 す文字で,Cコンパイラ組込みのデータ形式を指定することも可能です.整数 (`d',`o',`u',`x')に対しては以下のようになります.

`C'
char
`S'
short
`I'
int
`L'
long

浮動小数点(f)に対しては以下のようになります.

F
float
D
double
L
long double

`-v'
`--output-duplicates'
同一の連続した行を出力します.デフォルトで,二行以上連続した出力行が同 一のとき,odは最初の行のみ出力し,それ以下の行には省略を示す ためアスタリスクだけを書きます.

`-w n'
`--width[=n]'
出力行ごとに,n入力バイトをダンプします.これは,出力形式で指定 したものに関連するサイズの最小公倍数の倍数にする必要があります.

このオプションが全く指定されていない場合,デフォルトは16です. `--width'でnが省略されている場合,デフォルトは32です.古 いシステムでは,GNU odは時代遅れのオプション `-w[n]'を代わりにサポートしていて,そこでのnのデフォ ルトも32です.POSIX 1003.1-2001 (see section 2.6 標準への準拠)では,引数を用いない`-w'を許可していません.代わり に`--width'を使用してください.

次のいくつかのオプションは,書式指定の短いものです.GNU odは,短いものと書式指定のオプションのあらゆる組み合わせを受 け入れます.これらのオプションは累積されます.

`-a'
指名された文字として出力します.`-ta'と等価です.

`-b'
八進数のバイトとして出力します.`-toC'と等価です.

`-c'
ASCII文字やバックスラッシュエスケープとして出力します. `-tc'と等価です.

`-d'
符号無しの十進数のshortとして出力します.`-tu2'と等価です.

`-f'
浮動小数点として出力します.`-tfF'と等価です.

`-h'
16進数のshortとして出力します.`-tx2'と等価です.

`-i'
十進数のshortとして出力します.`-td2'と等価です.

`-l'
十進数のlongとして出力します.`-td4'と等価です.

`-o'
八進数のshortとして出力します.`-to2'と等価です.

`-x'
16進数のshortとして出力します.`-tx2'と等価です.

`--traditional'
伝統的なodが受け入れる,オプション引数が無いものとして認識し ます.以下の構文です.

 
od --traditional [file] [[+]offset[.][b] [[+]label[.][b]]]

これは,最大一つのファイルと,オプション引数で指定しているオフセットと 疑似スタートアドレス,labelを指定するために使用することが可能で す.デフォルトで,offsetは,書式化と書き出しの前にスキップする入 力バイトの量が八進数で指定されていると解釈されます.オプションで十進数 の位置を後置すると,offsetの解釈は強制的に十進数とします.十進数 が指定されておらず,オフセットが`0x'や`0X'で始まる場合,それ は16進数として解釈されます.`b'の後置がある場合,スキップされるバ イト数はoffset の512倍になります.label引数は, offsetのように解釈されますが,それは初期の疑似アドレスを指定しま す.疑似アドレスは,通常のアドレスに続くカッコ内に表示されます.


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