各種言語におけるハイフネーション

1. ロシア語

1-1
切ってはいけないふたつの法則

2. フランス語

2-1
音節で区切る原則
2-2
音節の規則

3. ドイツ語

3-1
分綴の基本原則
3-2
音節における子音字の取り扱い
3-3
音節における母音字の取り扱い
3-4
複合語の分綴について
3-5
語形変化に伴う分綴点の移動

4. スペイン語

5. 英語




ロシア語

切ってはいけないふたつの法則

(それ以外は,適当でいい.)
  1. 子音と母音の間は切ってはいけない。
  2. 変化している語尾(動詞、形容詞、名詞)の間は切ってはいけない。



フランス語

音節で区切る原則

綴り字は音節で区切るのが原則である.

1. 音が1個で区切る前が1文字になる時は区切らない。
ex) u-ne で ne の前で区切ると u だけになっておかしい。
2. 連続する子音字は間で区切る。
ex) bel/le jus/que
3. 連続する3つの子音字は最後の子音字の前で区切る。但し、子音字 + l、子音字 + rは間で区切らない。
ex) cons/ta/ter sculp/tu/re
4. 連続する母音字は間で区切る。但し、複母音字は区切らない。
ex) his/toi/re
5. 半母音として発音される i, u, ou + 母音字は区切らない。
ex) rui/sseau

音節の規則

音節については以下のような規則がある.

  1. 音節には必ず1つの母音字が含まれる(但し複母音字は1つとみなす)。
  2. 母音字に挟まれた子音字は次の音節に入れる (※ eは無音であっても音節を作る)。



ドイツ語

分綴の基本原則

1. 単一語では、ゆっくり発音するとき自然に区切られる音節によって区切る。
ex) Wa-gen Stu-dent
※ 一音節の五は,字数の多少にかかわらず分綴できない.
2. 複合語では、その「構成要素」による区切りを優先する。
ex) Kraft-wagen
☆ 構成要素の境界は必ずしも音節の切れ目と一致しない。
ex) inter-esse her-unter

音節における子音字の取り扱い

1. 音節の切れ目に子音字がある場合は、その子音字であとの音節を始める。
ex) fra-gen Ta-xe
☆ 母音の直後で発音されない h も、分綴上は子音字であとの音節を始める。
2. 音節の切れ目に二つ以上の子音字がある場合は、その最後の子音字で あとの音節を始める。
ex) oh-ne Gar-ten
3. 発音上は単子音を表すng, dt,や ff, ll, mm, nn, pp, rr, ss, ttなどの 子音重複は、字面どおり二字として扱う。
ex) ken-nen Klas-se
4. 発音上は単子音をあらわすch, schや 外来語の ph, rh, sh, thは、 特に一子音字とみなす。
ex) wa-schen Nym-phe
5. 発音上は二子音を表すものも、特例として一子音字とみなす。
ex) ge-stern ber-sten
6. 外来語ではbl, fl, gl, kl, pl, br, dr, fr, gr, kr, tr, gn, knなど、 伝統的に一子音字扱いとしているものがあり、特に注意を要する。
ex) pu-blik, Zy-klus

音節における母音字の取り扱い

1. 母音字が1つで子音字のない音節は、独立の音節とはしない。
☆ 母音字が二字あれば分綴できる.
ex) aa-len ei-gen
2. 母音字であっても、それが発音されない音節は独立の音節とはしない。
ex) Bou-tique
3. 連続した母音字が単母音・長母音・複母音を表す場合は、 その中間では分綴できない。
ex) Chaus-see stei-gen
4. 外来語で、連続した母音字の中間に、発音上の区切りが認められる場合は、 そこから分綴できる。
ex) Muse-um
5. 外来語で、連続した母音字の中間の発音上の区切りが明瞭でない場合は、 特に必要がない限り、分綴しないほうがよいとされる。
ex) Na-tion ak-tuell

複合語の分綴について

1. 合成語では、前半の規定語と後半の基礎語との間で分綴することが もっとも望ましい。
ex) Kinder-arzt
2. 派生語では派生つづり(前つづり・後つづり)と基礎語との間での 分綴が望ましい。
ex) ver-sprechen Auf-bau
3. やむをえず他の個所で分綴する場合も、できるだけ構成要素を重んじる ことが望ましいが、構成要素による分綴では、どうしても処理しきれない場合 に限り、音節による分綴が許される。
ex) Kin-derarzt
4. 構成要素がはっきり意識されなくなった語は、 音節による分綴が認められている。
ex) Tran-sit(本来はTrans-it)

語形変化に伴う分綴点の移動

1. 名詞的品詞が母音で始まる語尾をもった場合は、分綴点が増加し、 また移動することが多い。
ex) Frau → Frau-en
☆ 但し、子音による語尾をおった場合は分綴点はかわらない。
ex) Blu-me → Blu-men
2. 動詞が語尾を失い、または子音で始まる語尾を持つ場合は分綴点が減少し、 移動することが多い。
ex) sa-gen → sa-gt, sag-te
☆ 語形変化の際に、語幹の弱音 e が脱落するか否かにより分綴点の移動が起こりうる。
ex) han-deln → hand-le



スペイン語

音節で区切る。




英語

1. l, m, nを含む語尾 -ble, -sm, -ton
ex) credi-ble
2. 1音節で発音できる語は割らない。
ex) strength, sphinx
3. 複合語はもとの単語に割る。
ex) some-thing, book-case
4. 接頭辞・語幹・接尾辞に割る。
ex) dis-like, read-er
5. 長母音があればその後と割る。
ex) fa-ther, mu-sic
6. アクセントのある短母音のときは、それに続く子音の後で割る。
ex) an-gry, im-age
7. 二重母音はその後で割る。
ex) dy-na-mo, si-lent
8. 前項の例外的ルールとして語尾 -cial, -cious, -tionなどの場合は、 その前で割る。
ex) so-cial, de-li-cious
9. 三重母音のときは二重母音 + 単母音の形に割る。
ex) flow-er, vi-o-lent
10. 同じ子音字がダブっているときは、ダブリを割る。
ex) ap-pear, dif-fuse
11. 連続2異子音の前と後に母音があれば、その2異子音を割る。
ex) ac-tive, dip-lo-mat
12. 連続3異子音の前と後に母音があるときは、その第1子音で切る。
ex) chil-dren
13. 語尾にの各音も含むものは、その前方の子音を引き取って1音節を形成し、 前方と割る。
ex) ap-ple, bot-tom, spo-ken
14. cr, dr, gr, tr などの連子音は割らない。
ex) sa-cred, con-gress
15. (-r)の綴は普通は前の音節につく.
ex) co-ral, tor-toise


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