2011年秋学期 プロジェクト活動報告書
重量センサを利用した消耗品の使用量予測 システム

山口修平
学籍番号: 81025609
ログイン名: gucci
政策・メディア研究科 修士課程2年
所属プログラム: CI
プロジェクト: モービル広域ネットワーク


研究要旨

ビジネスにおける流通の在庫の問題はSCM(Supply Chain Management: 流通管理) やRFID タ グの貼付による個品管理の自動化により解消されつつある. 一方でオフィスや家庭内の消耗品の在 庫管理は, 特定の管理者による経験則に基づいて行われている. そのため, 欠品や過剰在庫といった 問題が生じている. 特に、オフィスにおけるプリンタ用紙使用量などは、時期によって使用量が大幅 に変動するため、過去データを自動的に分析して使用量(欠品時期)を予測することが有効だが一 般的に利用されることはない。本研究では, 上記の問題を解決するために, オフィスや家庭の消耗品 の消費量を, 予備品(ストック)の重量をロードセルを用いた在庫量測定装置によって常時観測し、 ネットワークを用いて情報システムに蓄積・分析することにより、使用量の統計モデルを自動的に 確立し、その統計モデルに基づいて、欠品時期を自動的に予測するシステムを設計・開発した。重量 を測定するロードセルは予備品の種類に応じて取り替える必要があるが、センサー制御、データ収 集、統計モデル解析、欠品時期予測アルゴリズムは、汎用的に用いることができる。消費量の季節変 動による統計モデルの切り替えを自動的に行うために、周期の異なる最尤推定方法を組み合わせる 方法を考案した。提案方法は, プリンタの約3 年間の実測使用データに基づくシミュレーションに よってその妥当性を確認し, 消費のステートの切り替え点が自動的に検出できることおよび, それに 基づいて発注タイミングや発注量を調整することにより, 今回用いたケースでは在庫量を12.1% 削 減できることを示した。在庫量測定装置で用いるロードセルに関しては, 市販の体重計に改良を加え て構成した。データ収集情報システムは消耗品の種類によって異なるデータ収集周期を指定したり、 データの送付先を指定できる機能を具備している。開発したシステムは研究室内でプリンタ用紙ス トックおよび冷蔵庫内飲料の重量を継続的に測定し、集計した使用量データに後処理を施すことに よって、平均値の誤差9 %, 確率分布の誤差7.15 %という結果が得られ, 使用量を直接測定するこ とと同等の精度で、統計モデルを確立し、欠品時期予測が正確に行えることを示した。

今学期の活動

2011年度秋学期は,本研究に用いた装置の開発及び独自のアルゴリズムを搭載したシステムの構築を行った。

対外活動

2011年 11月4日~6日 CJKワークショップ 復旦大学(上海)にて研究発表

2011年 12月15,16日 電子情報通信学会 SIS研究会 山口大学(山口県)にて研究発表